任意売却のパターン
任意売却の内容にはいくつかのパターンがあります。
■ 任意売却をして引越しをするか・しないか
■ 市場で任意売却をするか、親族間で任意売却をするか
■ 任意売却をした後で買い戻し契約をつけるか、つけないか
など、
任意売却をすることは同じでも、どのパターンを採用するかによって売り方や、売却後の生活プランの立て方は異なります。
もちろん、売却価格が住宅ローン残債に満たない場合は、売主が勝手に任意売却のパターンにするかを決めることはできず、どの任意売却パターンを採用するかは債権者に承諾を得ながら決めていかなくてはいけません。
このページでは、任意売却のパターンを5つご紹介します。
任意売却について検討する際にはご参照ください。
※任意売却は、いつでも最適な解決策になるわけではありません。ご自宅を売却するかしないかも含め、まずは専門家とご相談ください。
任意売却のパターンをご紹介します。
状況次第で適した任意売却方法は異なるため、(こんなパターンがあるんだ)という程度にお読みいただき、具体的には専門家へ直接相談してください。
このページでご紹介する任意売却のパターン
このページでご紹介する任意売却のパターンは以下の5パターンです。
■ 市場売却
■ 親子間売買
■ リースバック
■ 買戻し
■ 買取
それぞれのパターンについて、どのような状況で検討するのか、メリットとデメリット、任意売却を成功させるポイントや注意点等についてまとめます。
任意売却のパターン:
市場売却について
市場売却は、一般市場で広告宣伝をして、一般の方から買主を探すという、最もオーソドックスな任意売却のパターンです。
売却価格で住宅ローンの残債を完済できなくても売却できるという点以外は、通常の不動産売却と同じ流れです。
市場売却で任意売却を考える場合には、一般の市場で広告を出し買主を探すため、多少時間的な余裕が必要となります。
>>任意売却のタイムリミットについて
市場売却で任意売却するメリット・デメリット
メリットは、任意売却のパターンの中で最も高く売れる期待ができるということ。また、そのため、債権者からの合意も任意売却の中では得やすい点もメリットです。
デメリットは、一般市場で広告を出し買主を募るため、いつ買主が見つかるかわからないことです。
ただもちろん、値段が高ければ買主を見つけにくく、値段が低ければ買主を見つけやすいわけですから、不動産屋さんであればある程度予想はできます。
債権者とどの値段で合意をつけられるかによっても売却スピードは変わってきます。
また、この後でご紹介するリースバックや親子間売買と違い、任意売却をしてから引き続きすみ続けることはできない点も、デメリットとして挙げられます。
市場売却で任意売却を成功させるポイント
売却価格を高い金額で設定するほど、債権者からの合意が得やすくなりますし、住宅ローンの残債を減らすことにもつながります。
相場価格を大きく上回ることはできませんが、できるだけ高い金額で売却するためには、下記ページもご参照ください。
>>任意売却で必要な準備
任意売却のパターン:
親子間売買について
親子間売買は、親族間売買といってもいい任意売却のパターンです。親族だけではなく、近しい間柄の方との売買も含みます。
親族や近しい間柄のどなたかに、住宅ローンの支払いが厳しくなってしまったから買ってもらえないか、その代わりに家の名義も渡してます、というケースの任意売却です。
親子間売買で任意売却した場合、多くのケースで引き続き居住ができるよう話し合いが進められます。
親子間売買で任意売却をするメリット・デメリット
メリットは、任意売却後も引き続き居住ができるよう話がまとまるケースが多い点、近しい間柄であるため家賃についても柔軟に相談ができるという点です。
デメリットは、債権者の同意が取りにくい点、住宅ローンで購入しようとする場合審査が厳しい点、子どもが親の家を住宅ローンで購入すると将来自分の家の購入で支障が出る点です。
最後に挙げたデメリットについて、例えば親の不動産を子どもが購入する、その際に住宅ローンを組む、という場合。この時、お子さんが結婚して奥さん・お子さんと暮らす家を買おうとした時に、親子間売買で組んだ住宅ローンのせいで家が買えない、というケースもあります。
親の家を子どもが買う場合には、子どもの将来にどのような影響があるのかを当事者同士でしっかり把握してください。
親子間売買の注意点
親子間売買で任意売却を検討される方が誤解しやすいのですが、住宅ローンの残債と不動産の売却価格には関係はないことに注意してください。
住宅ローンの残債額を元に、不動産の相場価格・適正価格よりもかけ離れて安いあるいは高い金額で売買をしようとすると、贈与と受け取られて贈与税が発生することになってしまいます。
親子間売買で任意売却を成功させるポイント
親子間売買は取り扱いができる銀行が少ない点もかなりネックになります。
任意売却の経験が豊富な不動産会社であれば、親子間売買を取り扱ってもらえる銀行の当てを知っています。
親子間売買を考える場合は特に、不動産会社選びに注意してください。
参考ページ:
>>リースバック・親子間売買の再まとめ
>>任意売却業者の選び方
任意売却のパターン:
リースバックについて
リースバックは、売却後賃貸とも言われる任意売却のパターンです。
不動産は売却するけれど、買主さんと賃貸借契約を結んで借りる、という方法です。
リースバックは任意売却後も住み続けられるため、ご近所に知られる可能性が低く、子どもが卒業するまでなど短期間の賃貸でも利用できます。
支払っていた住宅ローンに対して家賃相場が低いケースや、残債が比較的少ないケースで有効です。
リースバックで任意売却をするメリット・デメリット
メリットは、なんといっても、任意売却後も住み続けられる点です。
親子間売買のように近しい間柄の方に迷惑をかけることなく、投資家との契約で任意売却後も住み続けることができます。
デメリットは、債権者の同意がやや取りにくいこと、また、市場売却と比較すると明らかに安くしか売却できないことです。
投資家を相手にするため、投資家にとってメリットのある売却価格になります。
投資家は、賃貸の家賃で得るリターン、また、不動産を再度売却した時に得るリターンを計算し、売却価格を設定します。
ざっくりと言えば、一般の売却価格を100とすると、リースバックで任意売却をする場合には高くても70くらいまで減ってしまうという感覚です。
リースバックの注意点:
リースバックで任意売却後も住み続けることがメリットになるためには、家賃相場が住宅ローンよりも安いことが必要です。
例えば、毎月住宅ローンを10万円支払っていて、リースバックで任意売却後にも家賃を10万円支払わなくてはいけないのであれば、家計が成立しません。
リースバックは、住宅ローンの残債が少なく安い売却価格でも債権者の同意が得られる場合や、家賃相場が低い場合に有効なパターンです。
任意売却のパターン:
買戻しについて
買戻し(再売買)契約のついた任意売却は、一回売るけれども、最初から買い戻すことを約束する任意売却のパターンです。
親子間売買と少し似ていますが、親族という括りを抜かしています。
また、親子間売買のパターンは買戻しの約束は絶対ではありませんが、買戻し契約のついた任意売却のパターンでは、必ず、○○年後に買戻します、という約束をします。
買い戻し金額も予め設定しておきます(ただしものすごくインフレになった場合にはこうします、という取り決めはしますが)。
買戻し契約のついた任意売却のパターンは、近い将来にほぼ間違いなくある程度まとまったお金が入る(借り入れられる)というケースで検討されます。
買戻しは、よく、リースバックと一緒に検討されます。
買戻しで任意売却をするメリット・デメリット
メリットは、買戻しはリースバックと併せて実行されるケースが多く、任意売却後も引っ越しをしなくて済むことです。
デメリットは、買取業者の経費、利益の分だけ買い戻し金額が高くなる点、買い戻せない場合は引っ越しをすることになる点、売却可能価格が低い点などが挙げられます。
買戻しとリースバックの違い
リースバックは売却後賃貸とも言われる通り、任意売却で売買契約を締結すると同時に賃貸借契約も結びます。
一方、買戻しでは、希望がない限り賃貸借契約は結びません。
買戻しだけの契約は、売買契約の際に買戻しの特約を付けますが、買戻しまでの期間、賃貸をするかどうかは強制されていません。
つまり、リースバック(売却後賃貸)とは違い、買戻しは、任意売却で売買契約をした後、賃貸契約をつけるパターンと付けないパターンの2つのパターンがあるということになります。
買戻し契約をする例
任意売却で買戻し契約をするケースには、例えば、5年後、10年後に退職金が入る。もしくは、同居している子どもが数年経てば勤続年数が満たされて住宅ローンが組めるようになるためそれまでいったん売却する、という場合などがあります。
任意売却のパターン:
買取について
買取は、不動産会社に買取をしてもらう任意売却のパターンです。
不動産会社は、感情論ではなく、どれだけで仕入れてどれだけで売る、修繕コストがどのくらいかかる、という客観的な数字の基づいて買取金額を算出するため、任意売却のスピードが速いです。
買取で任意売却をするメリット・デメリット
メリットは、なんといってもスピーディーな点です。建物の状態がよくなくても売却できることも、買取で任意売却をするメリットと言えます。
デメリットは、安くなってしまうこと。不動産会社の営業経費やリフォーム代などを勘案するため、市場売却で任意売却するよりも売却価格は安くなります。
安くなってもいいから売却したい、という方には有効な任意売却のパターンですが、売却価格については債権者との調整も必要なため任意売却の経験が豊富な不動産会社に依頼をしないとトラブルになるリスクもあります。
どのパターンであっても、任意売却をするためには売却価格や売却状況について債権者と調整しながら進める必要があります。
任意売却の経験が浅い不動産会社さんでは、「買主が見つかれば売却価格については債権者と話し合いでなんとかなる」という誤解のもと、買主との間で任意売却がまとまりそうになってから債権者とトラブルになってしまうというケースも耳にするため、注意してください。
おわりに
任意売却の内容ごとに、5つのパターンをご紹介しました。
任意売却を検討していると一括りにしても、当然、引っ越したくない、買戻したい、できるだけ早く売りたい、親族に頼れる人がいる、など、状況はそれぞれに異なります。
どのパターンが最適かはご相談者様ごとに異なるため、任意売却の内容にはいくつかのパターンがあると把握してただきながら、詳しくは専門家とご相談ください。
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